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【ラジオ・ヒッチコックR】

コンセプトは読むラジオ。映画や音楽の話題で楽しみましょう!

『妖星ゴラス』無茶苦茶が時に面白い! 

どーも、ロッカリアです。
バテ気味です〜。
このDVDは年末に見ようと思って去年買っていたものです。
やっと見れました。

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今から55年前の作品。
ハッキリ言ってもう無茶苦茶である。
質量が地球の6000倍もある黒色矮星ゴラスが、地球めがけてやって来る。
大きさは地球の4分の3だが、衝突すればもちろん地球は消滅する。
そこで考えたのが、南極に巨大なロケット推進装置を何台も取り付けて、地球の軌道を変えてしまえ、という結論に。
そんなバカな!
天文物理学などクソ食らえ! だ。
とにかく都合のいいように解釈して、物語は進んでいく。
うそぉ〜、と思いながら、んなバカな、と思いながら、物語が終わりに近づいていくと、ハラハラドキドキ、息を飲んで見てしまった。
映画は時に、こんなに荒唐無稽な話を、見事に作り上げてしまう。
それは、この特撮を担当している東宝の、信じられない作り込みがそうさせているのだ。

たどえば下のシーン。
白川由美が部屋にいるが、窓の外の風景は、描き割りやマット合成と言ったものではなく、全部ミニチュアによるセットなんです。
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(写真は画面をキャプチャーしたもの)

もう、CGを見慣れている今の目で見れば、奇跡としか言いようがない作り込みだ!
そりゃあ、地球やゴラスをよく見ればピアノ線が見えるし、宇宙ステーションや飛行機だって吊るしてあるの分かる。
それらを含めて、全部手作りで一つの映画を作り上げるというのは、現代から見ても驚異としか言いようがない。

話はガラッと変わって、この映画には、後に制作された「ウルトラマン」に登場するジェットビートルが、国連ビートルとして飛んでいるのが有名です。
この国連ビートルは、ジェットビートルに流用はされていませんが、デザインはそのまま、と言っていいでしょう。

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昔の特撮映画には、当時の映画人の熱い情熱とアイデアが満載なんです。
ただ、ゴラスを避けた後、地球を元の軌道を元に戻さないといけないのだが、その方法が……。
思わず、「おいおい」と言いたくなりますが、エンドタイトルを見ながら、笑顔になっている自分がそこにいました。

ちなみに、これも余談ですが、この映画にインスパイアされた小説があります。
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この小説は、現代物理を駆使して、読者も納得なので、興味のある方は一読をオススメします。

 

category: ヤ行

tag: 特撮  ヤ行 
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『リトル・ロマンス』小さな冒険が始まります 

どーも、ロッカリアです。
今日紹介するのは、1979年の映画で、大好きなダイアン・レインがデビューした作品です。

アメリカ人のローレン(ダイアン・レイン)はセレブな一家の一人娘。
フランス人のダニエル(テロニアス・ベルナール)はタクシー・ドライバーを父に持つ庶民の子。
偶然出会った二人、ローレンはドイツの哲学者、ハイデッカーの本を愛読し、ダニエルは名画座をハシゴするような映画大好き少年。
二人とも大人びていて頭がいい。
そんな二人は、これも偶然知り合った老人のジュリアス(ローレンス・オリヴィエ)からこんな伝説を聞く。

ベニスに古くからある言い伝えだ
恋人同士がゴンドラに乗り、日の沈む時
「ため息の橋」の下をくぐる
ちょうど鐘の鳴る時にキスをすれば
二人はずっと愛し合える
永遠にだ


リトル

母親に幻滅していたローレンに、アメリカに帰国することが告げられ、彼女はどうしてもダニエルとベニスに行き、サンセット・キスをしようと思った。
そして二人は老人のローレンスを巻き込んで、フランスからイタリアのベニスに逃避行へ旅立つが……。

ローレンス・オリヴィエ扮する老人が実は曲者だったり、劇中に、この映画の監督をしたジョージ・ロイ・ヒルが、自身の映画、『明日に向かって撃て!』『スティング』を使ったり、ハンフリー・ボガード主演の『脱出』、ジョン・ウェイン主演の『勇気ある追跡』、レッドフォードの『コンドル』を登場させるサービスぶり。
1979年の映画なので、登場する映画は全て名画座での上映となっているのが、オールドファンには楽しい。
余談ですが、『コンドル』を見ようとした二人は、入り口で13歳以下は入れないと断れるシーン。
ダニエルが「たった3秒の裸なのに!」と抗議するが、はて? この映画にそんなシーンあったっけ?
確かにレッドフォードとフェイ・ダナウェイのベッド・シーンはあったけど……。
ひょっとしたら、日本公開版と違うヴァージョンか? と思ってしまいました。(単純に、外国では少年少女に対する暴力や性表現に対する規制が強いからかも知れません)

この映画を青春時代に見て、宝物にしている人も多いことでしょう。
見るたびに甘酸っぱい、あの頃の気持ちが蘇るように、リトル・ロマンス、小さな冒険心を忘れちゃいけないなぁ、と改めて感じました。

category: ラ行

tag: イラスト  ラ行 
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「本と映画のはなし」と言う雑誌 

どーも、ロッカリアです。
暑い、だるい、と〜てもしんどい!
夏バテ真っ最中の私ですが、皆さんは大丈夫でしょうか?

ポパイとい雑誌を本屋さんやコンビニで目にしたことがあると思いますが、比較的若い層をターゲットにしている雑誌です。
が、50代後半の今になっても、たまに買います。
創刊号から知っているので、別に抵抗ありません。
もちろん毎号ではなく、内容によりますけど。
そのポパイの特別編集によるムックが出ていたので買いました。

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映画と本の特集です。
60人の著名人が、本と映画について、見開き2ページを使い、ガッツリ語っています。
他の人が、どんな本を愛し、どんな映画を観てきたのか、とても興味ある内容になっていて、時に関心、時に反論を自己消化しながら楽しみました。
こういった企画を読むと、自分の場合は何だろう? 
と、読み終わった後に考えるのも楽しいもんです。
結論を言うと、語りたい本や映画、どっちも多すぎて消化しきれない、と言うところにいつも達しちゃうんですがね……。


category: 迷宮図書室

tag: 映画本 
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『そして誰もいなくなった』(1945)このタイトルって……。 

どーも、ロッカリアです。

結末を知っていても、つまり犯人やトリックを既に知っていても、何度も見てしまうミステリー映画というのがある。
その最たるものが、市川崑監督による金田一耕助シリーズだ。
ストーリーだけじゃない、俳優さんの魅力、美術に音楽、何度見ても飽きない演出に興味が尽きない。

また、原作のミステリー小説を読んでいて、犯人を知っているのに、映画を見ると全くの別物になっていて、驚くこともある、この作品がそうだった。
ミステリー映画の性質上、詳しく内容を話せないので難しいのですが、タイトルが……。(汗)

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実はこの映画、1970年代にNHKの教育チャンネル(今のEテレ)で見て、とても面白かった記憶があり、ず〜っと廉価版のDVDを探していたのですが見つからず、結局Amazonで買いました。
ただ、結末のシチュエーションをすっかり忘れていて、原作とは違う、という事だけは憶えていました。
『オリエント急行殺人事件』の新作ニュースが聞こえてくる中、この映画の存在を思い出し、どうしても見たかったんです。
低価格DVDと言うこともあって、画質は非常〜に悪いです。20インチかパソコンの画面で見るのが最適で、大画面で見ると線が二重に見えてとても目が疲れます。(ま、そのうち慣れてきますが…)

物語は、現在のミステリーの礎を築いた孤島環境ミステリーで、オーエン邸に八人の男女がボートに乗って向かうところから始まり、オーエン邸の執事と給仕(夫婦)を合わせた十人が、マザーグース(一説には違うと言う指摘あり)の十人のインディアンの歌のとおりの見立て殺人が起こります。
ここで歌われる「十人のインディアン」の歌は、あの、ワン・リトル、ツー・リトル、スリー・リトル・インディアン……と言うあの童謡とは違います。
集まった十人の罪が、レコードから流れ、人が殺されていく度に、居間に飾ってある十人のインディアン人形が一つ、また一つ、壊されたりなくなっていきます。
これがこの映画の特徴と言えます。
映画では、犯人がこの中にいると、お互いが疑心暗鬼になり、見ている方も、早く犯人が知りたい(犯人は原作と同じ)と思える巧みな演出で最後まで飽きません。
小説の結末を知っている人も、充分楽しめます。

この十人の中に、ヒッチコック監督の『レベッカ』でダンヴァース夫人こと、ジュディス・アンダーソンが出ているのも、オールドファンには楽しみの一つです。
画質の悪さを我慢すれば、とても楽しめるミステリーだと思います。
見た人は全員、このタイトルにツッコミを入れたくなると思いますが……。


category: サ行

tag: ミステリー  イラスト  サ行 
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洋楽ファン必読! 「ホテル・カリフォルニアの殺人」がミステリーすぎる! 

どーも、ロッカリアです。

今日は本格ミステリの小説をご紹介しますが、これはちょっと凄いですよ〜。
イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」は今も色あせない歴史的名盤ですが、そのアルバムに写っているホテルは、「ホテル・カリフォルニア」でないと言うのは有名で、そんなホテルは当時存在しません。(今はどうか知りません)
余談ですが、大阪のアメリカ村には「ホテル・カリフォルニア」と言うホテルが実在しました。(そこでランチを食べたことがあります。今は無くなっています、多分)
ところが、そんな実在しない有名なホテルで、密室殺人が起こり、その解決に乗り出すのが、日本人のミュージシャンとヒッチハイクで知り合ったアメリカ人なんです。

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砂漠のど真ん中にある、セレブ専用の秘密のホテルが「ホテル・カリフォルニア」で、建物自体のディテール描写もさることながら、砂漠のど真ん中にあって、孤立していると言う設定からして本格ミステリなんです。
しかも、各章のタイトルがイーグルスの名曲から取られ、連続殺人事件の謎を解く鍵が音楽というのだから、洋楽ファンなら読まない手はありません。
「このミステリーがすごい!」大賞の最終候補作品で、「超隠し玉」作品です。

とても読みやすい文体で、普段音楽ばかり聴いていて小説なんか読まない、という人にもオススメです。
この小説を読みながら、「ホテル・カリフォルニア」を聴く。
これ以上の贅沢はないように思います。


category: 迷宮図書室

tag: 音楽本 
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『黄昏のチャイナタウン』空飛ぶジャック・ニコルソン! 

どーも、ロッカリアです。
お盆休みも今日で最後です。(ふ〜)

1974年の名作『チャイナタウン』の続編で、ジャック・ニコルソンが主演と監督を務めました。
前作の衝撃的なラストから約10年後を描いていますが、今回、原題の「二人のジェイク」というタイトルに深い意味があります。
と言うのも、前作でエブリン・モーレイ(フェイ・ダナウェイ)と恋に落ちたジェイク(ジャック・ニコルソン)は、今回同じ名前のジェイクの依頼を受けるが、この依頼がエブリン・モーレイと深く関わってくるからだ。

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(爆風で空を舞うジャック・ニコルソン! タモさんじゃありません!)

この映画を語ることは、前作『チャイナタウン』を見ていないと成立しないし、何を言っても、その前作のネタバレとなってしまい、非常に難しい。
だから、ディテールを話す事だけに留めておきましょう。

探偵ジェイクの所に、妻の浮気調査を依頼したもう一人のジェイクが、その浮気現場で男を射殺してしまう。
しかも、その殺された男が、依頼人のジェイクの仕事のパートナーだったことから、全ては男を殺すための仕組まれた芝居ではないかと、探偵のジェイクは疑うのだが……。

1930年代のロスを見事に再現した前作と比べ、今回はそれほど凝った演出がない。
あるシーンで、探偵ジェイクは爆発によって吹き飛ばされるが、常識的に無傷で助かるなんてありえないし、ジェリー・ゴールドスミスの音楽が秀逸だった前作に比べ、ヴァン・ダイク・パークスの音楽は甘すぎる。
主演のニコルソンも太り過ぎだ。(演出上、あまり関係ない思う)
決してつまらない作品ではないが、続編と言うのは、こうやって前作と比較されるのは宿命なのだ。
監督としてのニコルソンの手腕はどうか?
ポランスキーの冷徹で、突き放したような演出と正反対で、探偵ジェイクがとても身近に感じるが、自ら主演となればそれは当然か。
ラストの衝撃も、やはり前作を上回ることはない。
編集のせいかもしれないが、もう少し物語を整理して、観客に確信は何なのか? がストレートに伝わるような演出が欲しかった、と思います。

言っておきます。
『チャイナタウン』を見ずに、この『黄昏のチャイナタウン』を見ても成立しません。


category: タ行

tag: タ行  イラスト 
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イラストレーター「中村佑介展」に行って来ました 

どーも、ロッカリアです。
お盆休みも残すところあと一日となりました〜。
みなさん遊び疲れてないでしょうか。
私は食べ過ぎて……。

さて、日本一高いビル、あべのハルカスでイラストレーター中村佑介氏の個展が催されているので行って来ました。

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「謎解きはディナーのあとで」「夜は短し歩けよ乙女」の表紙や、アジアン・カンフー・ジェネレーションのCDを手がけているので、名前を知らなくても、どこかで目にしていると思います。
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本日のメインは何と言っても、フォトショップで色付けされる前の原画が見られる事です。
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これは「謎解きはディナーのあとで」の原画です!
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これは大好きな作品。
女の子の表情がいいですね。
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中村氏の線は、異常に細いですね。
あと、原画が完成品になる工程も読み取れて、とても興味深い個展でした。
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プロの絵見て、また刺激をと感動を受けました。
見ただけでイラストが上手くなればいいんですが、ま、それは努力次第という事で、今後のブログを期待してください(←嘘つけ!)

category: ニュース

tag: イラスト 
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一口メモ:『ヴィジット』 

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これはこれは。
ホラーのデザインは『シャイニング』を踏襲している。
ただ、ホラーといっても、霊的なもの、人間的なもの、怪物的なものがあるが、この作品はそれが中々ハッキリしないストレスを感じる。
謳い文句の「3つの約束」も、あまり意味がない気がする。
母親が若い頃に家出をした実家に、娘と息子が祖父母に会いに行く。
ここが生命線の映画で、ラストはちょっとドッキリするが、終わってみればなんて事はない。
そう感じたのは私だけでしょうか。
ま、ホラー映画のムードだけは味わえます。

category: 一口メモ

tag: チラシ  ア行 
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「ウルトラセブン」〜モロボシ・ダンの名をかりて〜 

どーも、ロッカリアです。

お盆休みに突入! 本日大阪高島屋で催されている「ウルトラセブン」放送開始50周年記念のイベントに行って来ました。
¥800を払って入場、人間大の星人&怪獣が展示されていたり、所々のポイントで「ウルトラセブン」DVDを再生していまいた。
目玉は「狙われた街」のジオラマでした。

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数少ないですが、所々写真撮影OKでした。
ただ、このイベント内容、どうだったの? と聞かれたら、特別面白かったとは言えません。
ほとんどがヌイグルミでごまかしていました。
ただ、グッズショップの品揃えは、いつもより充実していたかな。
私もセブン湯のみを買いました。

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興味のある人は、13日の日曜日まで開催しているの行ってみてはどうでしょうか。
あくまでも暇つぶし、とお考えください。

category: ニュース

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『死刑台のエレベーター』ジャンヌ・モローを偲んで… 

先月、7月31日にフランス女優、ジャンヌ・モローさんが死去されました。
ヌーベルバーグの恋人と呼ばれ、同時代を生きた女性たちに与えた影響は計り知れません。
以前のブログで、2011年に『死刑台のエレベーター』の記事を書きました。
改めてイラストを描き直した、リミックス・ヴァージョンで、彼女を偲びたいと思います。

まあ、こう言うことだ。
制作された年代も古く、編集でもアラが目立つ。
お前は忍者か!と突っ込みたくなる場面には目を瞑ったとしても、白昼堂々とビルをよじ登ったり、挙句にフックが付いたロープをそのまま忘れたり……。
そのロープは数時間後、何の説明も無しに、何故か勝手に外れて、道端にいた女の子が拾って持って帰っちゃう……。
この他にも言いたい事や突込み所は多々ある。
しかし、だ。
この映画が現在も名作と呼ばれ、リメイクに、リバイバル上映にと引っ張り蛸になるのにはどんな訳があり、魅力があるのか?
今日はその辺を重視しながら話を進めて行きましょう。

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(夜の街を彷徨うジャンヌ。マイルスの音が聴こえますように……)

ジュリアン(モーリス・ロネ)は、一つ上の階にいる、社長であり、愛人フロランス(ジャンヌ・モロー)の夫、カララ氏を自殺に見せかけた完全犯罪を企んでいた。
計画はアッサリと成功、全てを終えて意気揚々とビルの外へ。
何気に犯行現場を見上げたジュリアンの顔は青ざめた。
犯行に使用したロープがベランダの手すりに掛かったまま……。
慌ててビルの中に戻り、エレベーターに乗り込むが、運悪く今日は土曜日で、ビルの中には警備員だけ。その警備員が誰もいないと思って、ビル全体の電源を落として帰ってしまう。
途中で止まってしまったエレベーターに一人残されたジュリアンは、脱出を試みるがどれも上手くいかない……。

これがこの映画のプロローグで、観客を引き込むには抜群の設定だ。
この殺人に絡んで、二人の若い男女が描かれる。
主役は勿論ジュリアンとフロランスだが、もう一組の若いカップルが、ジュリアンの車を盗んで、行く先々でジュリアンの名前を騙ることで、エレベーターの中に閉じ込められて、手も足も出ないジュリアンと別のジュリアンが勝手に行動して、おまけに殺人事件を犯してしまう。
この辺りが秀逸である。
夫を自殺に見せかけて、殺す計画をジュリアンに実行させたフロランスも、ジュリアンの車を目撃、しかも助手席には若い女が……、と刑事の取調べで証言してしまうありさま。
一部始終を知っている観客は、「ち、違うそ!」と言う、殺人を犯したジュリアンに対して同情意識を植え付け、何とかエレベーターから脱出する事はできないのか?と言う気持ちにさせる。(この辺は、ヒッチコックの手法を大胆に取り入れている。なにせヌーベルバーグですから…)
サスペンス映画なので詳しい事は言えないが、
ジュリアンは閉じ込められたエレベーターから脱出して、完全犯罪を成立させる事ができるのか?
これを軸に、エレベーターの中と外の世界が同時進行して行き、複数の線がラストにはバッチリ集結を見せる。
さすが、の一言である。
さらに、この物語に豊かな表情をもたらしているのが、帝王マイルスのサウンド・トラックである。
オープニングから始まって、愛するジュリアンの行方を追って、夜の街を彷徨うフロランスの心情を見事に映し出していく。
マイルスの音楽無しには、もう考えられないシーンである。
ちなみに、このサウンド・トラックを収録した当時、ぶっつけ本番のような即興演奏が話題になったが、完璧主義者のマイルスがそんな事をするはずも無く、レコーディングの三日前から入念なリハーサルを繰り返し本番を迎えたのだ。
ま、考えてみれば、サウンド・トラックとして全ての曲がレコードと言う形なっているのだから、ジャズのお家芸とも言えるインプロビゼーションの部分は別として、やはりちゃんとしたスコアが存在していたんだろう。

ジャンヌ・モローの魅力、いや魔力。
マイルスの信じられないぐらい素晴らしい音楽。
手持ちカメラによる臨場感あふれる手法。
二転三転する物語の魅力。
そして、ルイ・マルと言う天才監督出現……。

まあ、こう言う事だ。
作られた年代も古く、編集でもアラが目立つ。
しかしながら、演出だけによるサスペンスの盛り上げ方といい、カメラ・アングル、ストーリーの工夫、音楽の使い方といい、これが25歳にして作り上げたデビュー作で、ヌーベルヴァーグの傑作である事に間違いない、と言う事だ。
現代の映画人は、この作品の持っているインパクトに感嘆の声を上げ、25歳と言う、その若さに驚愕すべきである。
(2011年11月22日)

心よりご冥福をお祈りいたします。

category: 過去記事リミックス

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